HOME > 技術情報 > 均質化剤について

均質化剤(ホモジナイザー)について

 均質化剤は、多くのゴム種と相溶性がよい樹脂成分からなり、ゴムブレンド(あるいはゴム・汎用プラスティックブレンド)のブレンド均質化を促進する。さらに、副効果として他の配合栗品の混入を助けるとともに、バッチ内・バッチ間の粘度のバラツキを減ずる品質へのメリットをもつ。
 ブレンド初期に投入することによって、成分樹脂の溶融と同時にゴムの界面に対して優れた濡れ効果を発揮する。下図は、NBRおよびEPDMのカラーゴム(顔料色素で予め色づけしている)をブラベンダーを用いてブレンドした事例である。写真は練り開始3分後の状態であるが、無添加の場合(CONTROL、中央の写真)に比べ、均質化剤「ストラクトール 60NS フレーク」を添加した状態(STRUKTOL、下の写真)の方がはるかに均一化されている様子が何える。

HB_fig64e

ストラクトール均質化剤の効果例の動画
 ストラクトールの均質化剤の効果を理解しやすいように、上記に写真で示した極性の大きく異なるNBRとEPDMをブレンドする様子を撮影した動画を作成した。画面左側にはNBR(青色に着色)とEPDM(白色に着色)にオイルのみを添加したケース(CONTROL)が、画面右側にはNBRとEPDMにオイルに加えて均質化剤「ストラクトール 60NS フレーク」を添加したケースが表示される。CONTROLに比べて、均質化剤「ストラクトール 60NS フレーク」を添加した方がはるかに均一化されていることがよく分かるであろう。

コンパウンド
  • 1つ目のバッチ:NBR100、青色顔料1
  • 2つ目のバッチ:EPDM100、白色顔料3、オイル20
テスト条件
  • ミキサー:ブラベンダーW350、コグドブレード
  • 開始温度:80℃
  • ローター回転数:40rpm
  • フィリング・ファクター:0.56
ミキシング手順
(画面左側) (画面右側)
時 間 CONTROL(60NS無添加) STRUKTOL(60NS添加)
0'00" NBR(70phr、青色) NBR(70phr、青色)と60NS(2.5phr)
0'30" EPDM(30phr、白色) EPDM(30phr、白色)と60NS(2.5phr)
3'00" 排出 排出

テスト結果
(画面左側) (画面右側)
CONTROL(60NS無添加) STRUKTOL(60NS添加)
2色に分離したまま 1色に均一化された
均一性は改善されず 色はすばやく均一化された

 また、破砕されたゴムには軟化効果による適度なタックが与えられる。この働きが破砕ゴムの融合速度を速め、生地のまとまり(コンパクト化)を早める。均質化剤の特長は、加工中ブレンドと混合効果の低下がないように、練りに要するエネルギーを高く維持することである。均質化剤による加工時間の短縮はこの性質による。
 以上述べたような粘度や極性の異なるゴム同士のブレンド均一化効果は、次の溶解度パラメータ図から考察できる。

HB_fig50

 ブレンドが困難な原料ゴムが、極性の差に起因していることは、すでに配合技術者にとっては常識となっている。また、この差が大きいほどより困難となることもよく知られている。ブレンド時にそれ相当のせん断レベルが維持できる粘度が達成できれば、各ゴムと相溶性のよい可塑剤を利用してゴムブレンドの均一化を図ることは理論的には可能である。しかし、往々にしてそのような可塑剤は移行しやすくブリードしやすい。そこで、分子量のもっと大きい樹脂の混合物を均質化剤として利用することは理に適う。
 均質化剤の優れた濡れ性は、カーボンブラックなどのフィラー類に対しても同様の効果を発揮する。混入速度を速めると同時に、フィラー類の凝集は抑制され、配合生地の分散状態は向上する。とくに多量のフィラーを配合したい場合には、均質化剤のコンパクト化能力を利用することが多い。
 グリーン強度を高める目的で、配合表のプロセスオイルの一部を均質化剤で置き換えることがある。生地流れもむしろ高まり、先の加工効果も加味すると初期コストに余りある加工コストヘの寄与が期待できよう。その他に、均質化剤をタッキファイヤー(粘着付与剤)を含む配合に併用する例があるが、これはタッキファイヤーのグリーンタック能力を助長することがその理由である。生地同士の貼り合わせには、グリーンタックの改善が大きなテーマであることは言うまでもない。
 例えば、多機能が要求される自動車タイヤのインナーライナー配合(IIRベース)には均質化剤「ストラクトール40MS / 40MSフレーク」が最適である。フィラー類の分散、カレンダーの薄出し、接着、空気不透過性等々を総合的に改良できるメリットがある。
 ゴムブレンドの場合、均質化剤は混合の初期段階でゴム材料と一緒に投入するのが常道である(均質・分散化を望む材料と一緒に添加)。この方法により、軟化温度付近で均質化は最適となる。添加量は、ゴム100phrに対して通常4~5phrである。さらに困難なブレンドでは7~10phr投入することもある。

 以上述べた均質化剤の効果を以下に整理する。

ゴムブレンド配合
  • 海島構造の細分化
  • 配合バッチの均一化
  • エネルギーと時間の節減
  • 押出し、カレンダー等の後続工程での加工性改善
  • 適正なタック付与
  • フィラー類の分散改善
  • 配合生地の表面肌の改良
単一ゴム配合
  • 腰を落とす
  • 配合バッチの均一化
  • 適正なタック付与
  • フィラー類の分散改善
  • 配合生地の表面肌の改良

ストラクトール均質化剤のラインアップについては均質化剤の製品情報のページをご覧ください。

▲ページトップに戻る